シャープを傘下に、鴻海
2016/07/25
2016/02/26 日経産業新聞より引用
『経営再建中のシャープは25日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の買収提案を受け入れると発表した。約7000億円の支援を受け、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長率いる鴻海の傘下に入る考えだ。(中略)
鴻海は日本の工作機械の最大の顧客として知られる。一方で量産のための金型生産では世界最大規模を誇る。スマートフォン(スマホ)の筐(きょう)体を削り出す工具も自社製にこだわる。モノづくりへの力の入れ方は尋常ではない。(中略)
鴻海は創業時、射出成型機でテレビの選局用のつまみを作っていた。「金型や工具を自社製にすることでものづくりの技術力が高まり、顧客の多様なニーズに即応できる機動力や、品質の高さを実現している」と中川会長は指摘する。(中略)
多くの日本メーカーは「品質・コスト・納期(QCD)」を業務改善の指標とする。この言葉の並び方は日本企業が品質を一番大事にしていることを示している。だが、鴻海は違う。(中略)
「鴻海は納期を最重視する。納期を究めれば品質やコストも伴うと考えているところが日本企業と大きく違った」と井野氏は振り返る。(中略)
「日本製の高い技術を備えた生産設備、中国の安い人件費、それを結びつける台湾の優秀なマネジメント」。郭董事長はこのように自らの企業の競争力の源泉を語る。
シャープの買収も液晶などの生産の技術力を手に入れることが目的だとみられる。(省略)』
★コメント
やはりという感の幕引きだった。再生機構との奪い合いは鴻海の勝利に終わった。この意味するところは大きい。日本の技術流出を懸念する声があるが日本人を中途採用で多く抱える企業であればすでに多くのノウハウが流出しているはずだ。私の職場でも「前の会社だとどういうふうに作っていたのか教えてほしい」と言えばタダで教えて貰える。技術は人に付くもの、設備に付くものではないと考える。
今回の件で重要なのはひとえに猛烈な経営者のマネジメントとビジネスの総合力に負けたということだろう。液晶や半導体は消耗戦だから潰れてもしょうがない、という諦めが日本には少しあるのではないか。だが同分野で利益を上げている世界企業はいくつもある。今一度現状を見つめ直し「世界No.1になる」ための具体的な取り組みをすべきである。明日は我が身、当事者意識を以て全員で取り組みたいものである。