最新半導体、世界に遅れ―反攻のカギは回路分野
2016/07/25
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2016/06/03 日経産業新聞より引用
おはようございます、月光です。今朝は世界半導体の国際会議 「VLSIシンポジウム」に関する記事を紹介します。
★記事要約
●世界的な半導体の国際会議「VLSIシンポジウム」が13~17日、米ホノルルで開かれる。
●あらゆるモノがインターネットでつながるIoT時代を迎え、通信やセンサー用などに半導体の使いこなしが重要になってきた。
●近年の傾向として、回路分野で低迷していることは日本の課題になりそうだ。
●シンポジウムは微細加工や先端素材開発などの「技術」と、様々な用途で最適な機能を実現するために素子とソフトウエアを組み合わせる「回路」の2部門に分かれる。
●単に申し込んでも発表できない。主催する委員会が内容を厳しく審査して選ぶ。
●技術シンポジウムでは、これまではLSIの配線幅を狭くすることが最もわかりやすい競争種目だった。ただ、線幅がおおむね10ナノ(ナノは10億分の1)メートルほどに達して以降、それ以上に狭くすることが技術的に難しく、開発に多額の費用がかかるようになってきた。
●線幅を狭くする代わりに配線を平面に加えて高さ方向にも増やす3次元素子や、電子の電気の性質(電荷)に代えて磁石の性質(スピン)を使って消費電力を桁違いに減らす磁気素子の開発が進む。
●今回の技術シンポジウムでは日本企業から東芝とTDKの米子会社ヘッドウェイテクノロジーズ(カリフォルニア州)がそれぞれ最先端の磁気素子であるSTT―MRAMの技術を紹介する。
●回路シンポジウムでは、主催する委員会はソニーのイメージセンサーに関する技術を特に優れた発表に選んだ。従来は技術的に難しかったグローバルシャッターに対応できるCMOSイメージセンサーを開発した。
●IoTに欠かせない通信用回路を東芝や日立製作所、東京工業大学などが発表する。
●ただ日本の回路分野の発表件数は2000年以降、米国との差が開きつつある。過去の発表件数の推移を見ると、99年まで日本の発表件数が米国を上回った。90年は約2倍もあった。ところが00年に抜かれ、年々差が広がり、今年は約4分の1以下になった。数年前から以前は相手にならなかった韓国や台湾と同程度の件数になった。
●90年代に日本に大きく差をつけられた米国は国策で半導体業界への投資に力を入れ、00年に一気に抜いた。
●00年代後半には米国の大学で最先端の半導体を学んだ若手研究者が出身の韓国や台湾に戻った。
●それぞれの国と地域が半導体産業の強化に乗り出し、優秀な若手を呼び戻した。
●時を同じくして日本国内では半導体メーカーの再編が起こり、研究が鈍化している間に韓国と台湾に追いつかれた。
●「微細化など技術開発が難しくなってきた今、回路設計者ががんばらなければ日本の半導体業界は心配だ」と大手半導体メーカーの研究者は漏らす。
●日本はどうも目に見えるモノ作りを重視し、見えにくい回路を軽視しがちだ。
●IoTやビッグデータ処理、人工知能といった半導体の新しい用途は、大半が米国発だ。用途に合わせる回路設計の発表件数で米国が群を抜く理由もわかる。
●いかに新規用途を生み出し、半導体とソフトウエアを組み合わせる回路設計を重視するかが、今後の日本の半導体業界を左右するかもしれない。
★コメント
半導体プロセスと回路設計共に世界に比べて日本は見劣りするようになってしまった。プロセスだけならともかく回路もだと言う。
かつて隆盛を誇った日本半導体連合はほぼ壊滅状態、しかし半導体が世の中から無くなる訳ではなく、向こう100年は生き残るという話さえある。
米国は一度日本に抜かれながらも国のバックアップの甲斐もあって見事復活を遂げた。インテルなどはDRAMの開祖でありながら日本メーカーに追い込まれ最後は撤退する。しかしプロセッサ事業で見事復活を遂げた。その後スマホ向けで出遅れているためこれはこれで安泰ではない。
韓国、台湾、中国などのアジア勢は国策で先進国を猛追したのと模倣によるキャッチアップが半端無かった。模倣こそイノベーションの源泉、特許の問題はあれど結果的にサムスンやTSMCなどの無比な半導体メーカーが育った。
日本はどうか?
寂しい状況が続く。国は半導体事業を見放してしまったのだろうか?半導体技術者は自信を失ってしまったのだろうか?
このままでいいのだろうか?
今一度冷静に考えてみたい。これからの IoT、ビッグデータ処理、人工知能、車載、まだまだ魅力的な分野が開花しようとしている。この世界でトップクラスに入ってみたいとは思わないか?
どうか日本ものづくりに関わる人一人一人が上昇志向を持って取り組んで欲しいと思う。
まだ終わっていない「諦めたらそこで終わりだよ」とスラムダンクの安西監督も言っていた。心に刻みたい。
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