電流流さず情報伝達、東北大、省エネ、光で磁気を操作
2016/07/25
2016/07/15 日経産業新聞より引用
おはようございます、月光です。今日は最先端の低消費電力デバイス関連記事を紹介します。
記事概要
●東北大学の水上成美教授と安藤康夫教授らは、極めて低消費電力の電子素子実現につながる技術を開発した。磁性金属の表面に光を当てて「スピン波」と呼ばれる電子の磁気の波を発生させることに成功した。
●スピン波を使えば電気を流さずに情報が伝達できる。さらに数年かけて基礎研究を続け、将来の産業応用を目指す。
●研究チームは、磁性金属である鉄ニッケル合金を使い厚さ約20ナノ(ナノは10億分の1)メートルの多結晶薄膜にレーザー光を照射。約3マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル離れた位置で、戻った光の状態から明瞭なスピン波を検出した。
●レーザー光は発光時間が100フェムト(フェムトは1000兆分の1)秒と短い波長400ナノメートルのパルス状紫色レーザー光を用いた。
●レーザー光は電気を使って発生させたが、今後、既存の光回路と組み合わせるなどして、できるだけ電力を消費せずにスピン波を発生させる素子構造を検討する。
●集積回路(IC)などでは電気を利用して情報を伝えたり蓄えたりするため、電力を消費する。しかしスピン波を使うと電気を使わずに高速に情報を伝えられ、波の性質は従来の回路とも組み合わせやすい。
●ただ、これまでの研究では電気を流してスピン波を発生させるため、低消費電力にできなかった。光でスピン波を発生させられれば、電力をほとんど消費せずに動く電子素子を実現できる可能性がある。
コメント
スピンとはこの場合電子のひとつのエネルギー状態のことであり、二種類の方向を有するものである。このスピンの伝搬がスピン波であり、レーザーと強磁性体を用いて発生させることが出来るそうだ。
最も重要なのが電気を使わずに情報の伝搬が可能なため低消費電力デバイスに使える可能性があることだ。
昨今の回路は大規模化が進み消費電力が高くなってきている、消費電力が高いため熱拡散にも工夫が必要で厄介な問題らしい。
いち早く最先端技術を応用し世界に先駆けた製品リリースを目指して欲しい。