ビッグデータ解析は破壊兵器なのか?数学者かく語りき
2017/01/18
ども~月光っす。
今回はビッグデータ解析に関する記事を紹介します。ビッグデータと聞いて皆さんは何を頭に浮かべますか?なんだが物凄い量のデータを物凄い解析ツールを使ってなんかする、位の認識ではないでしょうか。
つまりある演算をもとにコンピューターが機械的に出す結果と思ってないですか?
それも間違いではありません。
今回の記事で解説していた数学者のオニール氏はビッグデータ解析を『特定の意図を持った人間が結論に導くために作成したもの』とバッサリ切ります。
SNSやネットショッピングでよく無料登録出来るサービスありますよね。個人情報を集めビッグデータ解析から導き出した販売行為をする、それはわかります。
でもあれは個人情報を無料で差し出しているってこととも受け取れる行為だったんですよね。
そしてよく見る『あなたにお勧めの商品』メール。買い物の傾向から自動的にコンピューターが算出した結論かと思っていますが、もし誰かが操作した情報だとしたら?
ビッグデータ解析って完全にブラックボックスだなあ、って感じました。
ビッグデータ解析に警鐘、数学者オニール氏に聞く、未来操る力、責任誰に。2017/01/18 日経産業新聞
ビッグデータをアルゴリズムプログラムで分析した結果に基づき、学校の選択から住宅ローンの支払額、雇用まで様々な政策や決断が下されるようになってきた。
人の手を借りずに出る結果は公平さと正確さが売りだが、数学者でデータ・アナリストのキャシー・オニール氏は著書で逆説を唱える。アルゴリズムは特定の意図を持った人間が結論に導くために作成しているからだという。
――米大統領選ではあらゆる世論調査の結果予測が裏切られました。
「世論調査はビッグデータを使った(世の中の仕組みを壊す)大量破壊兵器の一種だと確信している。世論調査サイト『ファイブサーティーエイト』が当たるということで影響力の大きさにあやかろうとし、みなが世論調査に群がってきた」
「にわか作りの粗末で非科学的な調査はいい加減な結果しか出せない。トランプ氏の熱烈な崇拝者が調査対象に入っただけで結果はひずんでしまう。見出しの影響力に踊らされ、本来注目されるべき候補者の公約から、調査結果や投票者のプロファイルに注目が移ってしまった。世論調査の上位でない政治家は候補として値しない風潮まで作り、民主主義を壊したともいえる」
――ビッグデータ解析は思想から行動まで傾向を占うツールとしてもてはやされています。
「昔からコンセプトとしてはあったが『ビッグデータ』という言葉が確立したのは2011年ごろ。インターネットの浸透が背景にある。さまざまなサイトが無料でサービスを提供する代わりに個人情報を獲得した」
「ネットは政府や学術界が利用していたが、商業スペースに入った瞬間から広告収入がシステムの根幹になった。多少血をとられても最初は誰も気付かない。でも無料のいい話はこの世の中にない。今やフェイスブックはあなたが思うよりあなたのことをずっとよく知っている」
「ビッグデータを解析するアルゴリズムの特性は、入力する情報量が大きいほど、現状を分析するだけでなく、未来を決める力を発揮する。これが私の最大の心配事だ。例えば『これはあなたにお薦め』と広告が出てくるのは、現在の欲求以上のことを示唆したことになる。人間の将来の考えに影響を及ぼす情報をフェイスブックもグーグルも広めているのにこれを認めようとしない。思考のコントロールにどこで線引きをするのか誰も責任をとろうとしない」
――著作で、ビッグデータは不公平の格差を広げると指摘しました。
「黒人居住地を警察がパトロールの重点地区にしてマリフアナを所有する黒人を大量に逮捕し、得点を稼ぐようなことが日常的に実施されている。公平な調査に基づいて捜査する前に、黒人居住地は犯罪率が高いという結果が出るようなバイアスをかけた手順が最初にきている」
――ビッグデータは監視にも使えるのでは。
「ニューヨークの各所にある無料Wi―Fiスポットのそばを通るたびにあなたは(携帯を通じ)情報を提供している。そしてこの情報は第三者に売り渡されている」
弱者の視点で
政治家など批判
話を聞くと、政治家、警察、ハイテク企業などに対する厳しい言葉がポンポンと出てくる。都合のいいようにアルゴリズムを操作し、その結果に誰も責任をとらないことが金融危機を招き、昨年の大統領選の混乱にもつながったと主張する。それを見抜けないというメディアにも手厳しい。
注目されるビッグデータ解析も、結局は制作者の意図を反映したものと切り捨てる。主張や著作には何とか弱者を救いたいとの気持ちがにじむ。