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日経産業新聞

吉忠マネキン、手足自ら動かすマネキン

2016/07/25

2016/03/22 日経産業新聞より
『マネキン大手の吉忠マネキン(京都市、吉田忠嗣社長)は小型モーターを内蔵し、プログラムに従って手脚や首などを動かす次世代型マネキンを開発した。造形に3D(3次元)プリンターを導入することで複雑な関節の構造を実現、伸縮性のある服の着用感も動きで表現できる。今後は可動部を増やし、より多彩な動きができるように改良を進める。
歌舞伎や文楽の「黒子」から「QLOGO(クロゴ)」と名づけた。
マイコンを内蔵した「インテリジェントモーター」を搭載。首や肩、肘などの可動部に配した歯車とベルトなどに動力を伝えて動かす仕組みだ。
プログラムに応じて特定のポーズを繰り返したり、複数のマネキンを連動させたりできる。動作の速さやタイミング、方向などは、パソコンで設定を変更できる。
インターネット経由でプログラムを変更したり、人感センサーを搭載して近づいてくる人を感知し、マネキンを動かしたりすることができる。
制御機器メーカーのマッスル(大阪市、玉井博文社長)との共同開発。
さまざまな動作で客の目を引き、売り場に足を止めさせる効果が期待できるほか、伸縮性のある衣服の着用感やフィット感を動きで表現できる。
最近はスポーツウエアに限らず、デニムやスーツなどでも伸縮性に富んだ衣服が人気。吉忠マネキンの川野泰・研究・開発室長は「動きやすさを動作で表現できるマネキンに対する潜在的な需要は少なくない」と話す。
マネキンは人のかたちを模しているとはいえ、実際にスムーズに手脚を動かすのは簡単ではなかった。課題の1つが、可動部が服を挟み込まないようにすることだった。
従来型の繊維強化プラスチック(FRP)製マネキンの関節部に切り込みを入れて動くようにした試作品では、構造上の問題で生地が食い込んだり引っ掛かったりした。
一般的なマネキンの製作方法では、まず粘土でつくった原型から、胴体や脚といった部位ごとに石こうで型をとる。これにFRPを積層して成形し、石こうを割って取り出す。組み立てや仕上げ磨きなどを含め工程のほぼすべては手作業だ。
FRPでの製作は簡易で少量生産に向いているが、「素材が固いうえ、手作りなので複雑な構造の関節を造形できない」(川野室長)。このため、次世代型では3Dプリンターを採用した。
下半身が動く試作品では、素材にABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂を使って作製。デニムのパンツをはかせても太ももの付け根や膝に服が食い込まない造形ができた。
今のところ想定価格は1体あたり数百万円。既存の一般的な全身マネキンの10万円程度を大きく上回るため、コスト低減が大きな課題だ。』

★コメント
動くマネキン、有りそうでなかった。3Dプリンターを使った製作工程により可動部の複雑な構造が作製可能になり「動きやすさを動作で表現出来る」マネキンが作れるとのこと。コスト削減が鍵だがより大きな市場に投入し数を稼げば価格を下げられるはず。インターネット接続によりプログラム変更が可能ということでIoTの分野でもある。マネキンが動き出す世界、想像するだけで面白い!日本発で世界を圧倒してほしい。

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